この自家焙煎珈琲丸喜の「豆知識ページ」では、コーヒーについての豆知識をご紹介しています。
ポリフェノールといえば、赤ワインを連想する人が多いだろう。しかしいくらポリフェノールが体に良いとはいえ、毎日赤ワインを飲むのは難しい。
実は身近な飲料からポリフェノールをたくさん取ることができる。コーヒーだ。
ポリフェノールは植物に含まれる抗酸化成分。紫外線などから身を守るために植物が自らつくり出す防御成分で、ほとんどの植物に含まれる。
食品の機能と病気の関係などを研究する近藤和雄・お茶の水女子大教授らは約9000人を対象に、飲料別のポリフェノール摂取量を調べた。
その結果、1日に摂取する飲料の平均摂取量(アルコールを除く)は日本茶やコーヒーなど計約1.1リットル。これらの全飲料をポリフェノール総摂取量に換算したところ、1日あたり計約850ミリグラムのポリフェノールを摂取していた。 ポリフェノールの約8割を飲料から取っていることも分かった。
このポリフェノールの摂取量を飲料別に測定したところ、コーヒーが約半分を占め、次いで日本茶、紅茶、中国茶の順だった。飲料自体の摂取量は日本茶が一番多かったが、ポリフェノールの摂取量で見ると、コーヒーが1番。 100ミリリットルあたりに含まれるポリフェノール量は、日本茶が約100ミリグラムなのに対し、コーヒーは約200ミリグラムと約2倍も多い。コーヒーポリフェノールの濃度は赤ワインと同程度だ。
ポリフェノールは緑茶、紅茶、ココアなどにも含まれるが、コーヒーだとたった1杯(約150ミリリットル)で約300ミリグラムのポリフェノールが摂取できることになる。
近藤教授は赤ワインを飲むと悪玉コレステロールが酸化されるのにかかる時間が長くなることを、人の血液中の悪玉コレステロールを使って確かめた。この試験結果から推定し、 「コーヒーを飲んだ後も、赤ワインと同じように抗酸化作用が働いているのでは」と話す。
では、1日あたりどれくらいのポリフェノールを摂取すればよいのだろうか。いまのところ、科学的な適正量は分かっていないが、近藤教授は「1000~1500ミリグラムが妥当では」と推定する。
健康維持の基本はバランスのとれた食事、適度な運動、ストレスの少ないライフスタルなどだ。近藤教授は「香りのよいコーヒーをくつろぎながら味わって飲む。 その結果として、ポリフェノールも摂取できるといった気持ちで飲むのがよいのでは」とアドバイスする。
コーヒーと健康の関係については、国内外でさまざまな研究報告がある。糖尿病の発症率との関連では、世界の複数の研究結果でコーヒーをたくさん飲む人ほど発症率が低いとの結果が出ている。
米国の研究では、看護師を対象にした追跡調査で、コーヒーの摂取量が多いほど自殺率が低かった。肝臓がんのリスクを下げるとの報告もある。
イタリア人は本当によくコーヒーを飲む。なにしろ、赤ん坊を含めた総人口約6千万人のうち、4千万人がコーヒー常飲者であることからも想像できよう。 ただ、イタリア人の飲み方は、米国人が薄いコーヒーを大カップで飲むのと違って、少量の濃いコーヒー、いわゆるエスプレッソコーヒーを小さなカップで飲む。
年間430億杯が飲まれるといっても、カップが小さいから1人当たりのコーヒー豆の消費量は、ブラジル、米国、ドイツ、日本に次いで5番目の4.2キロと、予想に反して少ない。
最近は手軽に家庭で飲める方法が発達したため、家庭でのコーヒー消費が60%に増え、以前は断然多かったバール、つまり立ち飲みコーヒー店での消費が30%に落ち込んだそうだ。
コーヒーのいれ方では、これまでイタリアの家庭で一番普及していたのは、ヒゲの男のマークがついた2段式のコーヒー沸かし器「カッフェ・モカ」を使う方法だった。
だが、最近毎年30%もの上昇率で増えているのが、日本でも普及している、カプセルに詰めたコーヒーを各メーカー独自の電気式機械に入れ蒸気で押し出す方式のものだ。
また、これに加えて今年の夏からは、缶入りの冷たいコーヒーも売り出される予定だというから、コーヒー市場は当分熱い戦争が続きそうだ。(坂本鉄男)
フランスのある研究により、「コーヒーを飲むこと」「短期間の休憩をとること」は、夜間に車を運転する際の注意力を高め、交通事故を減らす効果があることが明らかになった。
フランス・ボルドー大学付属病院の教授らによるこの研究結果に、フランスの交通当局が注目している。
フランス交通当局は、7月11日よりテレビやラジオを通じ、夜間に車を運転する際の注意事項を全国範囲で呼びかけていくことを決定した。フランスの専門家は、次のように指摘している。
「これまで、飲酒運転の危険についてはよく言われてきたが、疲労がたまった状態で運転する際の危険性については、 ないがしろにされてきた。しかし実際、重大交通事故の約30%は疲労運転によって引き起こされている。今回、コーヒーを飲むこと、短期間の休憩をとることで、 注意力が増すことが明らかになったが、いずれもその効果はせいぜい4時間までしか続かない。夜間に長時間運転する場合は、途中で何度も休憩を入れることが必要だ。」
コーヒーに脂肪肝を抑制する効果があることが、三越総合健診センター(東京都新宿区)の船津和夫所長らの調査で分かった。
肝脂肪の人はコーヒーを飲む量が少なく、飲む量が減った人は発症する率が高かった。
調査は同センターで肝機能検査、腹部超音波検査を含む健診を継続的に受けている25~60歳の男性1,612人を対象に実施。健診時に1日当たりコーヒーを飲む量を聞き、1999年から2004年までのデータを分析した。
米国の研究チームが10月23日、身体的な暖かさと心理的な温かさが密接に関係することを示す研究結果を明らかにした。
1杯のホットコーヒーによって暖かな気持ちになれる可能性があるという。
米エール大のジョン・バーグ教授(心理学)らが科学雑誌「サイエンス」で発表した。
バーグ教授は、コロラド大ボールダー校のローレンス・ウィリアムズ氏と共同で、身体的な温度と心理的な温かさの関連を検証する実験を実施。
実験は、被験者にホットコーヒーまたはアイスコーヒーをしばらくの間持ってもらった後、第3者に関する情報を与えて、その人の性格特性を判断させるなどの方法で行なわれた。
バーグ教授は「身体的に暖かいと、われわれは他人をより心が温かい人だと判断し、またわれわれの方も他人より寛大になったり他人を信じやすくなるなど、われわれ自身も心が温かくなる」としている。
日本では、コーヒーは1951年まで”薬”だったのをご存じか?
医薬品の規格基準を定める日本薬局方には、コーヒー豆が実るコーヒーノキを正式な薬用植物として記載していたのだ。 コーヒーが”薬”でなくなったのは、コーヒーの有効成分であるカフェインが日本薬局方に登録されたからで、コーヒーに薬効がないというわけではない。
最近はコーヒーに含まれる「カフェイン以外の有効成分」も体にいいことがわかってきて、コーヒーの”薬効”は、さらに注目されているのだ。
ならば、薬と同じでコーヒーを積極的に飲むといい人と、悪い人がいるのではないのか?
「珈琲一杯の薬理学」の著者で、東京薬科大学の岡希太郎名誉教授に聞いた。
国内外のさまざまな研究から、コーヒーに2型糖尿病の予防効果があるのは間違いありません。日本人男性で1日5杯以上コーヒーを飲む人は、まったく飲まない人に比べ糖尿病リスクが4割低下するという統計もあります。
そのメカニズムはハッキリしていないが、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が糖分の吸収を遅らせるからだといわれている。実際、これと同じ作用の糖尿病薬があり、糖尿病患者に人気だという。
「ただコーヒーは深く焙煎すると、クロロゲン酸が分解する。糖尿病が気になる人は、浅煎りのコーヒーがお勧めです」
C型肝炎のウイルスに感染した人も、コーヒーは飲んだ方がいい。
「毎日5杯以上コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて肝がんの発症リスクが4分の1に減るという統計があります。肝がんの原因の多くはC型肝炎ウイルスの感染です。大阪府立大の研究からも、コーヒーは抗C型肝炎ウイルス作用があり、 C型肝炎から肝がんになるのを防いでいると考えられています」
コーヒーはパーキンソン病にも効果があるという。
「パーキンソン病は主に50歳以上で発症する脳神経の病気です。治療にはドーパミンと呼ばれる神経伝達物質を補い、脳内神経を修復する薬が使われます。 コーヒーはこの薬が代謝されるのをとどめる働きがある。パーキンソン病の薬と一緒に飲むといいでしょう」
自分には”薬”か”毒”かを知る
一方、間違いなく控えた方がいいのは妊娠中の女性だ。
「妊娠前半期の女性がコーヒーを飲みすぎると、早産の危険があるとの研究があります。つわりのない人や軽い人も飲まない方が無難です」
「飲み方次第で薬にも毒にもなる」のは心臓疾患のある人だ。
「コーヒーは心不全、狭心症、不整脈にいいといわれますが、効果があるのは1日1~3杯。それ以上は逆に心臓病のリスクを高めるようです」
コーヒーは胃酸の分泌を促す。胃酸が少ない人には薬になるが、多い人には逆効果で”毒”になりかねない。
「コーヒーは薬に準ずる飲み物だけに、飲み方には気をつけるべきです。いくら体にいいとはいえ、コーヒーを飲んで胸が苦しくなったり、冷や汗が出たり、気分が悪くなったりしたら、直ちにやめるべきです」
記憶力増強には、コーヒーやお茶が効くかも。カフェインによって記憶をつくる効率が変わる仕組みがあることを北海道大学の神谷温之(かみや・はるゆき) 教授(神経生物学)らがマウスの脳を使った実験で見つけた。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
神谷教授らは、細胞内のカルシウム濃度を調節する「リアノジン受容体」と呼ばれるたんぱく質に注目。このたんぱく質は、脳の中で記憶を作るのに重要な働きをする部分に多いことを見つけた。
記憶は、神経細胞が変化して、信号が伝わりやすくなることでできると考えられており、細胞の変化にはカルシウム濃度がかかわる。 神谷教授らは、カフェインでこのたんぱく質を刺激すると、細胞内のカルシウム濃度が通常より上がり、信号が伝わりやすくなることを確かめた。
「これまで知られていたカルシウム濃度調節とは別の仕組みだ。応用して薬の開発などが期待できる」と神谷さんは話す。認知症や記憶障害の改善薬の開発に役立つ可能性があるという。
コーヒーに含まれるポリフェノールの一種が認知能力の低下を防ぎ、糖尿病の発症を抑えるメカニズムを名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、 原田直明准教授らと飲料メーカー「伊藤園」(東京都渋谷区)の共同研究グループが解明した。
コーヒーを多く飲む人ほど糖尿病になりにくく、高齢者では認知能力の低下が抑えられる傾向があることが分かっていたが、その仕組みは謎だった。
岡嶋教授らは、健康効果で知られるポリフェノールの一つである「クロロゲン酸」が知覚神経を通じて脳に作用し、糖尿病の抑制などの効果があるタンパク質「インスリン様成長因子-I」(IGF-I)の生成を促しているとみて実験を始めた。
クロロゲン酸は、植物が紫外線から身を守る際に働く物質で、特にコーヒー豆に大量に含まれる。独特の香りや渋味をつくる成分とされている。
クロロゲン酸を多く含むコーヒーと普通のコーヒーを14日間、別々のマウス群に飲ませ続けたところ、多く含むコーヒーを摂取したマウス群で、各臓器のIGF-I濃度が最大で2倍になった。
2種類のコーヒーを、21~51歳の男性14人ずつにそれぞれ2週間、毎食後飲んでもらったところ、クロロゲン酸の多いコーヒーを飲んだ14人の空腹時の血糖値が低下するなどの効果があった。
岡嶋教授は「クロロゲン酸は熱に弱く、深いり豆ではこのような効果は期待できない。焙煎し過ぎないアメリカンを適度に飲むのが効果的」と話している。
コーヒーにはカフェインが含まれているため、この作用によってトイレが近くなる現象、つまり「利尿作用」が発生します。 これによって飲んだ量よりも多くの尿が体から出されてしまい、栄養素も溶けて流れていき、しかも脱水症状に陥ってしまうので、コーヒーは飲めば飲むほど余計に喉が渇く。
だからコーヒーを飲むのは良くないし、コーヒーはいくら飲んでも喉の渇きを止めることはできない・・・というような話がありますが、本当なのでしょうか?
コネティカット大学の運動生理学のローレンスE.アームストロング教授が調査したところによると、カフェイン入りの飲料が人間の肉体から体液を奪い取るという概念に対して科学的調査を行うことによって、 カフェインは水のように穏やかな利尿作用があるが、適度なカフェイン消費が健康に影響を与えるほどの「流動性の電解質平衝異常」を生むことはないと結論を下しています。
また、カフェイン入りの飲料を飲んだ後でも体内にある水分量は一定だそうです。つまり、コーヒーを飲んでも体内の水分量が減ったりはしないということです。
それどころか、カフェイン入りの飲料を習慣的に飲むことによって「流動性の電解質平衝異常」を縮小する働きがあることがわかったとのこと。 つまり、カフェインを接種する習慣が規則的であればあるほど、人間の体は流動性を保持するように条件付けられていくらしい。 つまり、適度なカフェインの消費は体を脱水症状に陥らせることはなく、毎日必要な水分摂取量に達することを実際に助けているそうです。